自分の背中

それはもっとも遠い場所

こんな価格で陪席していいんですか

 もっと早く出会いたかった本

 

 

思春期の精神科面接ライブ-こころの診察室から‐

思春期の精神科面接ライブ-こころの診察室から‐

 

 

冒頭に著者が面接において大切にしているものが語られ、会話形式でやり取りが記録され、注釈として、著者の意識した点や診断の選択、時折のダメ出しが書かれている。

精神科医の仕事は面接の流れを作ること、という視点が斬新だった。

患者の行動を変えよう変えようと力むのではなく、変えるにいたるように持っていくことに注力する。

どの事例においてもリソース探しと問題行動以外の行動を増やすことが一貫して行われている。

 

考えてみれば思春期なんて程度の差こそあれ、問題行動をするのが当たり前の時期とも思える。それが、病的だったり法を犯すものだったりするとそれなりの対応が必要だが、たいていの場合は時間が解決してくれる。

 

面接の流れを作ることで、私にもまともにやれる力があるのでは、と思ってもらう。時間の力も借りつつ本人の解決力が高まるように働きかける。

 

その人の知性が最大限発揮される面接になるように工夫しているとのことで、そこらへんも関係していると思うが、注釈にはその解説がないのでもっとその工夫について知りたい。

 

また、"患者さんが主役"という信念のため、診断しないことや医者だってできないことがあるというスタンスは私自身の悪い癖である「クライエントの期待に応えなきゃ」とは真逆である。

 

スクールカウンセラー養護教諭が読んでも参考になると思われる良書です。