不妊治療の辛さを行動科学で分析する②
その①
その①で
不妊治療を行うことは多くの不快を得てたった一つの快を得る(あるいは得られない)という行為であると考えられる。
と書いた。
不妊治療の不快を減らし、快を増やしてきもちよく治療を行うにはどうしていけばよいか。
まず不妊治療における不快というものは解決可能なものと解決不可能なものがある。
例えば、
費用や内診のスタイル、注射が痛いなどは解決不可能である。
しかし、
・費用がかかり治療がいつまで継続できるのか不安
・内診のスタイルが恥ずかしい
・子どもがなかなかできないことへの申し訳なさ
みたいな自分の感情については解決が可能だと思われる。
費用への不安は現実的にどのような治療法でどれくらいお金がかかるのかを調べること、また、病院や年齢によって治療法による妊娠率も異なるのでどのくらいの回数ができそうか、という自分なりの治療プランを作成すると自ずと費用が決まってくるだろう。
ちなみに病院がタイミング○回まで、とか言ってはくるがその通りでなくても診療してくれるはず。
内診の恥ずかしさみたいな感情は「恥ずかしいと思わなくていい!」なんて考えても勝手に湧いてくる感情なので、あんまり禁止しても効果はない。むしろ強く意識される。
自動的に生じる不快な感情でそれを生じることをコントロールできないとき
恥ずかしい気持ちなし→内診を受ける→恥ずかしい気持ちあり
であるから、行動後にバックアップを用意し、恥ずかしい気持ちよりも強い快が生じるようにする。
もっとも効果的な方法は行動直後に快が与えられることである。
子どもの予防接種なんかで注射後にアメをもらえることがあるが、それと同じ。
ちなみに注射直後にアメがもらえる方が会計後にもらうよりも注射を嫌がる確率は減るはず。
人間は、直後の変化に影響を受けやすいのだ。
しかし、不妊治療の内診直後にアメをもらうのは現実的ではない。
そこで、治療が終わったあとにご褒美を用意する。
病院の帰り道にカフェに寄るとか、コンビニで好きなものを買うとか。
最初は治療に費用がかかるのにご褒美なんてとんでもない!と思うかもしれないが、気持ちよく治療をするための必要経費と思って割り切りましょう。
お金かかることでなくても、旦那さんから夕飯作ってもらえるなど"いいこと"があればなんでもよい。
子どもができないことへの申し訳なさ、みたいな価値観に基づく感情はそれこそ不妊のカウンセリングで扱ってもらいたいと思う。これまで当たり前に子どもができると思っていたのにできないという生物としての欠陥を突きつけられる事態を患者自身が自分の力で乗り越えなきゃいけないというのは結構大変だと思う。
これは治療中だけでなく、子どもが授からず治療を辞めるときにも味わう気持ちだろうから、不妊カウンセリングで対応してもらえると患者としてはありがたい。
しかしながら不妊カウンセラーとは
http://www.jsinfc.com/user_data/course_regulation.php
みたいな仕事らしく、あまり治療を諦めた方へのフォローは「お仕事」として取り上げられてない様子。
そういうニッチな相談に対応することも臨床心理士の仕事になっていけばいいな、と思いつつ、婦人科医とどう接点を持てたらよいのだろう。