自己注射day3
・いつ
2017年5月3日
・どこで
自宅リビング
・誰と
ゲーム中の夫
・手続きに対する緊張感(Sud)
50(開始前)→60(アンプル開封)→30(終了後)
・手続きに対する苦痛度(sud)
50(開始前)→30(終了後)
・自己注射に対する不安感(sud)
50(開始前)→70(アンプル開封)→20(終了後)
どのように思っているのか?
アンプルの開封時に手を切り、不器用な自分に自己嫌悪する。うまくやれるのか不安になる。手続きを進めるうちにゆっくり不安低下していく。
旅行に行く予定だったらので注射打ったあとに楽しみがあると苦痛が低い。
手続きは慣れてきた分ゆっくり確認しながらやっていく。
自己注射day2
・いつ
2017年5月2日
・どこで
自宅リビング
・誰と
一人で
・手続きに対する緊張感(Sud)
50(開始前)→80(注射の空気抜き)→30(刺した直後)
・手続きに対する苦痛度(sud)
60(開始前)→90(注射の空気抜き)→30(刺した直後)
・自己注射に対する不安感(sud)
30(開始前)→80(注射の空気抜き)→80(刺す直前)→30(刺した直後)
どのように思っているのか?
手続きの面倒くささやら注射が痛いことでついつい先延ばしにしてしまう。
昨日10分しかかからなかったし、と思い道具を冷蔵庫からだす。
常温で打つと痛くないとのことで、しばし放置。もっと早くやっておけばと後悔。
アンプルの液は落とした。
注射器の中の空気がなかなか抜けず悪戦苦闘。
薬液を数滴無駄にして不安高まる。
昨日よりも刺す時の緊張感低い。
刺した後は普通に家事したり動き出した。
する前のうだうだはいつもの先延ばしパターンと一緒な感じ。
明日は10時に出かけるのでその前に注射しないといけない。
自己注射day1
自己注射
・いつ
2017年5月1日
・どこで
クリニック
・誰と
看護師
・手続きに対する緊張感(Sud)
60(開始前)→90(アンプルを割った)→100(刺す直前)→40(抜いた直後)→20(終了後30分)
・手続きに対する苦痛度(sud)
70(開始前)→80(手続き中)→60(終了後)→30(終了後30分)
・自己注射に対する不安感(sud)
80(開始前)→90(手続き中)→100(刺した瞬間)→40(抜いた直後)→30(終了後30分)
どのように思っているのか?
生理食塩水のアンプルを割る前に液体を落とすのを忘れてしまったため、新しいアンプルで実施。緊張感高まる。
針の蓋だけ取るのが難しく看護師からコツを教えてもらう。
溶かした薬が入った注射器を叩いて空気を持ち上げるが大きた空気はかなり強く叩く必要あり。
刺す瞬間緊張が高まる。
針を全て中に入れるが、入れるのは痛くないが恐怖が強い。
薬を注入するときが思ったよりも痛く、ためらってしまう。
しかし筋注よりも痛くなく、恐怖に慣れることは可能そう。
抑えている手の力を抜くように言われるが難しい。緊張が強いためと思われる。
針を出した後はどっと緊張感と不安感が解放される。
手続きがいろいろあり、気をつけなくてはならないことが多いので、手続き中の不安感などは紛れるが刺す瞬間の不安感・緊張感は強い。
終了後は安堵が強い。長い時間かかった感じがしたが、10分程度で終了した。
自己注射day0
・いつ
2017年4月30日
・どこで
バスの中
・誰と
バスの乗客
・手続きに対する緊張感(Sud)
30
・手続きに対する苦痛度(sud)
40
・自己注射がうまくできるか不安感(sud)
30
どのように思っているのか?
明日から自己注射。初回は看護師とやることになっている。手順は一度練習済みだが自分の体に刺すのは未体験。
手順について覚えているのは、
アンプルの折り方
針先をテーブルなどにつけないようにする
シリンダーの先も手で触らないようにもつ
一度アンプルの中身を吸って、針を付け替える
注射器を叩いて中身を下に落とす
押して液を1滴くらい注射針の先からだす
握るように持ち、まっすぐ刺す
結構たくさん覚えている。
手順が思い出せずできるのか不安だったが、手順が思い出せて緊張感のsud が20程度に低下。
◯◯しないように、という注意が多いので、◯◯するようにという手順を作成する必要がある。
明日看護師とやるときにコツを聞けそうなら聞いてみる。
患者さんから教わる
私はあまり臨床心理士として能力が高くない。
だからこそ患者さんから教わることがとても多い。
社会的なふるまいはもちろん、心理教育に使えそうなワードを言ってもらったりや自分の理解が深まったりと、患者さんから教わることで次の患者さんへのカウンセリングがブラッシュアップされる。
プラセボかもしれないが…
また不思議なことにこちらが尊敬できる人は治っていく。
治っていくというかやりたいことができるようになったり、症状があってもいいやと受け止められるようになったりする。
だから、私が患者さんの尊敬できるところを探していくのが大事。
最近患者さんから教わるということが分かってきた。
前は全然わからなかった。
患者さんは何にも教えてくれないし、なんでこんなこともできないの?と思っていた。
本に書いてあるようにやってるのに、やりたいのにうまくいかない、どうして?と思っていた。
治したいと思うあまりに治らないことが我慢できなかった。
それを治してくれたのは患者さんだった。
ちゃんと患者さんはよくなるんだ
症状があることと活き活き生活することはまた別なんだ
患者さんが私を治してくれているにお礼まで言ってくれるなんて!
そう思える患者さんと捉えていくことを心がけて明日のカウンセリングもやっていこう。
不妊治療の辛さを行動科学で分析する②
その①
その①で
不妊治療を行うことは多くの不快を得てたった一つの快を得る(あるいは得られない)という行為であると考えられる。
と書いた。
不妊治療の不快を減らし、快を増やしてきもちよく治療を行うにはどうしていけばよいか。
まず不妊治療における不快というものは解決可能なものと解決不可能なものがある。
例えば、
費用や内診のスタイル、注射が痛いなどは解決不可能である。
しかし、
・費用がかかり治療がいつまで継続できるのか不安
・内診のスタイルが恥ずかしい
・子どもがなかなかできないことへの申し訳なさ
みたいな自分の感情については解決が可能だと思われる。
費用への不安は現実的にどのような治療法でどれくらいお金がかかるのかを調べること、また、病院や年齢によって治療法による妊娠率も異なるのでどのくらいの回数ができそうか、という自分なりの治療プランを作成すると自ずと費用が決まってくるだろう。
ちなみに病院がタイミング○回まで、とか言ってはくるがその通りでなくても診療してくれるはず。
内診の恥ずかしさみたいな感情は「恥ずかしいと思わなくていい!」なんて考えても勝手に湧いてくる感情なので、あんまり禁止しても効果はない。むしろ強く意識される。
自動的に生じる不快な感情でそれを生じることをコントロールできないとき
恥ずかしい気持ちなし→内診を受ける→恥ずかしい気持ちあり
であるから、行動後にバックアップを用意し、恥ずかしい気持ちよりも強い快が生じるようにする。
もっとも効果的な方法は行動直後に快が与えられることである。
子どもの予防接種なんかで注射後にアメをもらえることがあるが、それと同じ。
ちなみに注射直後にアメがもらえる方が会計後にもらうよりも注射を嫌がる確率は減るはず。
人間は、直後の変化に影響を受けやすいのだ。
しかし、不妊治療の内診直後にアメをもらうのは現実的ではない。
そこで、治療が終わったあとにご褒美を用意する。
病院の帰り道にカフェに寄るとか、コンビニで好きなものを買うとか。
最初は治療に費用がかかるのにご褒美なんてとんでもない!と思うかもしれないが、気持ちよく治療をするための必要経費と思って割り切りましょう。
お金かかることでなくても、旦那さんから夕飯作ってもらえるなど"いいこと"があればなんでもよい。
子どもができないことへの申し訳なさ、みたいな価値観に基づく感情はそれこそ不妊のカウンセリングで扱ってもらいたいと思う。これまで当たり前に子どもができると思っていたのにできないという生物としての欠陥を突きつけられる事態を患者自身が自分の力で乗り越えなきゃいけないというのは結構大変だと思う。
これは治療中だけでなく、子どもが授からず治療を辞めるときにも味わう気持ちだろうから、不妊カウンセリングで対応してもらえると患者としてはありがたい。
しかしながら不妊カウンセラーとは
http://www.jsinfc.com/user_data/course_regulation.php
みたいな仕事らしく、あまり治療を諦めた方へのフォローは「お仕事」として取り上げられてない様子。
そういうニッチな相談に対応することも臨床心理士の仕事になっていけばいいな、と思いつつ、婦人科医とどう接点を持てたらよいのだろう。
不妊治療の辛さを行動科学で分析する①
不妊治療は辛い、そして長い。
そもそも1回の治療が生理中から始まり、排卵を経て再度生理が来る(妊娠すれば生理がこない)までのほぼ1ヶ月である。
診療と排卵のタイミングが合わないとこの周期はお休みね、ということさえある。
また、生理中に内診を受ける必要もあるため、仕事などの状況によっては出血がひどい日でも医師に膣内を見せなければならない。
しかも内診の時は、もちろん大股開きの状態で医師の手元まで持ち上げられている。
不妊治療を女性医師がしてくれる病院を選べればよいが、そもそも地方都市だと病院自体が少なく、医師は選べない。
もちろん病院側も配慮してくれて、内診中の医師の顔を見なくて済む場合もあるし、病院の雰囲気にもリラックス感を感じられるような柔らかい照明やらが使われているところもある。
しかし、不妊治療の最も辛いところはすぐに結果が得られないことだろう。
生理中に内診うけようとホルモン剤飲もうと、それこそ体外受精しようと妊娠できないときはできない。
人口受精や体外受精ではセックスすることもないため、性的な満足を得るという体験さえない。
にもかかわらず、莫大な費用(体外受精は自由診療のため助成があるとはいえ、50万円くらいかかる)
つまり妊娠、出産という遥か先の人参を手に入れるために(もしかしたら手に入らないかもしれない)苦痛に満ちた治療を行わなければならない。
診療の方法など患者自身が変えられない部分は難しいが、患者自身が工夫することで不妊治療の辛さを緩和できれば少しでも不妊治療を継続することに役立つのではないか。
そこで、今回行動科学の視点から不妊治療の辛さを緩和する方法を検討してみようと思う。
そもそも人間(動物)の行動の仕組みとして行動を行なった直後の環境の変化によって行動が生じる頻度が増減する、という仕組みがある。
ちょっと難しいので簡単に説明すると
苦痛あり→ある特定の行動→苦痛なし
となるという体験をすると同じ状況になったときにある特定の行動をとる頻度が増える。
例えば
頭痛あり→頭痛薬をのむ→頭痛なし
だと、次にまた頭痛が生じたときに頭痛薬を飲む行動をとる頻度が増える。
別に頭痛薬を飲む、でなくても
頭痛あり→hiphopを踊る→頭痛なし
であれば頭痛が生じるとhiphopを踊る頻度は増える。
医学的になんの効果もないことでも、ある特定の行動をとった後に頭痛がなくなれば、次に同じ状況になったときにある特定の行動をとる頻度が増える。
では、以下の場合はどうだろう。
苦痛あり→ある特定の行動→苦痛あり
つまり、ある特定の行動をとっても環境の変化が起こらない、という状態である。
頭痛あり→頭痛薬を飲む→頭痛あり
で考えるとわかりやすいが、頭痛薬を飲んでも頭痛が治らない場合はどうするか。
もっと頭痛薬を飲む
頭痛薬を変える
病院を受診する
など様々な行動をとるだろう。
しかし頭痛薬を増やしても頭痛が治らないのであれば、その頭痛薬を飲むことをやめてしまうだろう。
これと同様のことが不妊治療においても起こることが予想される。
妊娠なし→不妊治療を受ける→妊娠なし
不妊治療を受けたとしても不快な状況に変化がない。
頭痛薬を増やしても頭痛が治らないとき、頭痛薬を飲むことをやめてしまうことと同じように不妊治療をしても妊娠に結びつかなければ治療を受けることをやめてしまうだろう。
しかも、不妊治療をすることで得られる快は妊娠のみである。つまり不妊治療を行うことは多くの不快を得てたった一つの快を得る(あるいは得られない)という行為であると考えられる。